二酸化炭素の地中貯留事業(CCS事業)の実用化を目指す株式会社ウェーブレットは、シリーズAの資金調達を完了しました。
株式会社ウェーブレット(本社:東京都練馬区、代表取締役CEO 岩本友幸、以下「ウェーブレット」)は東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(本社:東京都文京区本郷、代表取締役社長:植田浩輔)、およびONE Innovators株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役 辻秀樹、島田周、清水孝行)の2社を引受先とした第三者割当増資を実施し、約2.5億円の資金調達を完了したことをお知らせいたします。
本調達の報告と合わせて、2024年11月1日付で岩本友幸が代表取締役CEOに就任し、高橋明久が取締役会長に就任したことを発表致します。岩本は大学院卒業後、丸紅にて原子力や再生可能エネルギー、天然ガス、メタネーションや水素やエネルギー貯蔵などの事業開発に従事した後、外資系IPP(独立系発電事業)企業にて再生可能エネルギー発電事業のM&Aや新規事業開発をリードして来ました。エネルギー分野での幅広い知識やM&A、事業投資の豊富な実務経験を活かし、ウェーブレットの更なる成長に貢献してまいります。
この度の調達によって、当社は人員体制の強化に加え、CCS事業の陸上実証試験の実施や、海域でのCCS事業実施に向けた機器の開発、当社の強みであるPASSと振動解析技術をCCS以外の分野へも展開し、従来の技術では解決が難しかった様々な社会問題に対してソリューションを提供してまいります。
コスト低減及びモニタリングの可視化を通じてCCS事業の実現を加速
CCS事業では二酸化炭素の地下貯留後は、数十年という長期間にわたり二酸化炭素の挙動をモニタリングする必要があります。その方法は、圧力や温度のモニタリングに加えて、人工的に発生させる振動を地中に伝え、その跳ね返りの振動を解析することで地中状態を可視化させる技術(弾性波探査)が用いられます。弾性波探査は従来の石油ガスの開発でも用いられていますが、大型の起震車を用いた方法で1回あたり数億円の費用がかかります。
ウェーブレットが実用化を目指すPASSは、震源装置サイズを人間が持ち運びできるサイズまで小型化する事で運用コストを削減し、従来の大型起震車が入れなかった山中などにも持ち運ぶことができるようになります。さらに、運用コストを削減することで、一つの場所で連続的な弾性波探査による常時モニタリングが可能となります。二酸化炭素の圧入を行う地域の住民の方が常時状況を把握することも可能になり、地域の理解醸成も期待され、CCS事業の実現可能性に貢献できるものと考えております。
PASS技術の他分野展開を推進し、様々な社会課題の解決を目指す
また、ウェーブレットは小型震源装置であるPASSのみならず、そのPASSから発信される微小な振動(エネルギー)を常時収集し、膨大なデータの解析も強化して参ります。今後はこの2つの強みをCCS以外の分野にも適用し、地熱開発や土木分野(地下水位の特定、地下岩盤の位置や形状測定、施工済みの盛り土の事後の締固め検査など)、インフラ診断(コンクリートの劣化診断)、地中埋設物の探査(都市インフラの探査や、埋蔵文化財の探査)などへの展開を進めます。
これらの分野では、検査に膨大な人手がかかる、(盛り土検査など)事後に全体的な検査を行う事が不可能であったり、従来の技術では弾性波が届かない・または測定ができない、など課題が多い状態です。東京大学大学院辻研究室とも研究・開発連携を行い、これら分野の社会課題を解決していきたいと考えております。
業界最先端の研究を行う東京大学辻研究室との強力なチーム組成
高橋明久と共にウェーブレットを共同創業し、現在ウェーブレットのCSO(Chief Science Officer)である辻健は、東京大学大学院工学系研究科辻研究室の教授であり、PASSを発明し、その開発を長年主導してきました。近年はPASSを使って月面での地震探査を計画するなど、物理探査や宇宙探査の専門家であり、多数の論文引用実績を持ち業界を牽引する存在です。
当社は辻研究室との協働を通じ最先端のデータ解析手法などをビジネスに取り入れることで、従来の技術では解析が難しい複雑な事象を解析・解決してまいります。
ONE Innovators株式会社 ジェネラルパートナー 島田周のコメント
CCS事業は、カーボンニュートラル達成のため今後の日本社会に必要不可欠な取組です。特に、CCS貯留地の探査・監視には日本の技術を活用し、確実に進めることが求められています。ウェーブレットの独自技術であるPASSシステムは、日本を代表する多くの資源会社からも高く評価され、この分野における日本発のソリューションとなる可能性があり、私たちは支援を決定しました。ONEは今回の資金提供に加えて、我々のネットワークと知見を最大限活用し、ウェーブレットの企業価値向上と技術の社会実装を支援してまいります。
東京大学協創プラットフォーム開発株式会社 マネージャー 片山達彦のコメント
世界がカーボンニュートラルの実現に向けて動き出す中、CCSは極めて重要な技術として注目されています。一方で、CO2の地下貯留後のモニタリングに係るコストが全体の事業性に大きな影響を与えているという課題がありました。
ウェーブレット社は、辻教授が九州大学、東京大学で長年研究を重ねてきた小型震源装置と独自の信号解析技術を活用し、この課題に革新的なソリューションを提供します。同社の技術により、安価で継続的なモニタリングが可能となり、CCS事業の経済性が大きく改善されることが期待されます。 日本の学術研究から生まれたこの画期的な技術が、世界の脱炭素化に貢献できることを大変誇りに思います。弊社は1stRoundからの支援に引き続き、投資参画させていただくことを光栄に存じ、同社の更なる成長と、持続可能な社会の実現に向けて支援して参ります。
東京大学大学院工学系研究科 教授 株式会社ウェーブレット CSO 辻健 のコメント
これまでの大学での研究活動を通じて、多くの技術がビジネスフェーズに近づいています。しかし、大学単独でこれらの技術を社会に普及させることは容易ではありません。そのため、ウェーブレットのような企業が大学発の研究成果を実社会で活用し、社会に価値を還元していく役割を担うことは大変心強いと感じています。私は、これまで人類は、振動が持つ情報を十分に活用してこなかったと考えており、その利用には大きな可能性が秘められていると考えています。辻研究室では、振動を用いたモニタリング技術の開発や、地質構造や人工物の可視化を可能にする基礎技術の研究を進めてきました。これらの技術は、社会の多様な課題を解決するための新たな視点と手段を提供できるものと信じています。今後も東京大学辻研究室としては、基礎研究を深化させ、新たな技術の可能性を追求していきます。また新たに代表に就任された岩本氏のリーダーシップの下、ウェーブレットが大学発の技術を社会に展開し、世界に大きなインパクトを与える企業へと成長することを期待しています。この産学連携が、新たな価値創造と持続可能な社会の実現に寄与する一歩となることを願っています。
株式会社ウェーブレット 代表取締役CEO 岩本友幸のコメント
この度、ウェーブレットの代表取締役に就任いたしました。これまでの業務経験を活かし、投資や事業開発とリスクのバランスを見極めつつ迅速な意思決定やアクションをし、各業界の皆様と手を取り合い、役割分担をしながら協働させていただく事で、社会課題の解決や地球温暖化防止に貢献してまいる所存です。 社員をはじめ、社内外関わるみなさんと、このビジョンとともに歩み、「三方よし」の精神で事業を行ってまいりますので、ご指導の程どうぞよろしくお願いいたします。
また、自社の技術とウェーブレットの技術を組み合わせてみてはどうか?新たな価値提供ができないか?といったディスカッションも喜んでさせて頂きたいので、お気軽にご連絡いただけますと幸いです。
株式会社ウェーブレットについて
概 要 | 小型震源装置(PASS)を用いて地中やコンクリートなど目に見えない場所の解析・モニタリングを実施 |
設 立 | 2022年7月 |
所在地 | 東京都文京区後楽2-3-21 住友不動産飯田橋ビル 3F Room 6 |
代表者 | 代表取締役CEO 岩本 友幸 |
URL | https://wvl.co.jp |
メディアお問い合わせ先
株式会社ウェーブレット 担当:梶川(電話:03-6265-1957)